アメリカの不良娘・ベッキー Vol. 5

『ちょっと煙草を買いに行ってくるから車使うね~』

とみんなに声を掛け、その後ドキドキしながら車に乗り込んだ僕は一路ベッキーのアパートへ。

運転中もベッキーに再会後の第一声を、何度も何度も口に出して反復練習。

『Hi, Becky. Please read tnis.

頭の中の僕はハンフリー・ボガード。

『ヨ~! ベッキーちゃんよ、こいつを読んどいて くんな』

なんてね。

しかし、格好をつけている癖に実はとっても臆病者で、たったそれだけのフレーズをお経をあげる坊さんのように何十回と無く繰り返した。

その頃から待つことが出来ない性格の僕は手紙を直接手渡すことしか考えていなかった。

向こうから来るのをまった

車で40分も走るとベッキーのアパートへ到着。

『ウッ! ベッキーの車がある…』

それだけで俺の心臓は口から飛び出しそうになった。

車を一旦アパートの手前で止めて深呼吸。

意を決して イザ アパートへ。

ノックを2回。

『Who is it?(だ~れ?)』とベッキーの声。

『It’s Bon.(ボンだよ)』

僕は顔立ちがボンボンみたいだからとニックネームはBonと呼ばれていた。

命名者はインポの坪井さん。(今思うと、世間知らずという意味で命名したのかも…)

『Come inside.(はいって)』とベッキー

玄関のドアを開け中に入るとベッキーは夕飯の支度をしていた。

マッシュド・ポテトを作っている様子。

『What’s happening?(どうしたの?)』

『P_P_P_P, Please read this.』吃(ども)りながらも何十回と練習したフレーズをなんとか、やっとの事で口から押し出す。

『What is that?

『Love letter …..

し、し、しまった!!!

昨夜この手紙を書いている最中に 一人でラブレターだな~なんて思ってニタニタとほくそ笑んでいたので、それがつい口から出てしまった。

『Oh Yeah?』ベッキーはにっこりと微笑みながら僕の手書きの手紙を俺の震える手から取り上げて読み始めた。

『Any Time!』と手紙を読み終えたベッキーは僕を上目遣いで見直す。

『OK?』と僕。

『Sure.

『Why don’t you having dinner with me?』とベッキー。

た・た・食べたい!! その後 いいことがあるかも知れないし…

頭に血がのぼせた僕は『Yes!』と言ってしまった。

「やった!! ついに金髪と二人っきりで晩飯じゃ~~~」

僕はすっかりのぼせ上がり、訓練仲間の連中に、ちょっと煙草を買いに行くと出てきたことを全く忘れていた。

カウチに座り 金髪ベッキーの立ち振る舞いをボーッと眺めていると 先日大音量で鳴らしたSANSUIのステレオのスピーカーの上にちょこんと写真立てが置いてあるのに気がついた。

カウチから立ち上がり、その写真を見るとベッキーが大男と二人で写っていた。

ベッキーの身長は見た感じ165cm。 そのベッキーが男の肩ぐらいまでしかないから男は2m位はあるんじゃないか?

『デッケ~!!』 僕は思わず日本語でつぶやいた。

それに気づいたベッキーが

『Oh, it’s my husband………..』 後の方は聞き取れなかった。

『ハ・ハ・ハズバンド~~~???』

『こいつが、この大男が旦那? 結婚しているということか~、ゲゲゲゲゲ~』

『ま・ま・まずい!! 僕 今 完璧に間男じゃん! この大男が帰ってきたら殺されるかも!! うぅぅぅ~、まだ死にたくね~…』

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